衝突
陣形展開せず、無策で前進する王翦軍。
行軍が遅くなり、
「やはり何かある」
と敵味方双方に思わせたのも束の間、
本当にそのままぶつかる王翦軍。
王翦軍の第三将・田里弥(でんりみ)も、
李牧軍のカイネ・傳抵も意味が解らぬ様子。


李牧軍の共伯、雷伯の2将軍は渋い顔。
最も険しい顔をしていたのは…李牧でした。
李牧にとって、「嫌な策」だったようです。
「まともにやり合って勝ち目などない」
と考えていた田里弥。
しかし、ほぼ互角の戦いを見せる王翦軍。
何故、田里弥軍に対したような戦術を、
雷伯軍は見せないのか……。
何故、無策の突撃を敢行した王翦軍が、
互角に戦えているのか……。
「何もしていないから、互角なのか?」
起こり
「起こり」とは。
物をつかむ時、手を動かす。
ほぼ同時だが、わずかに先に肩が動く。
もっと言うと、対になる腰に先に力が発している。
これが「起こり」だと。
身体を動かすとき、ことが動くとき、
起点になる場所が先に動き出す、動かなくても
力を発している。
それが「起こり」だということですかね。
軍にもその「起こり」がある。
「起こり」を察知し、相手の動きを読めば
その技は通じず、更に返し技(カウンター)を出せる。
李牧はそれをやっていた、と王翦は説明します。
本能型の武将
王翦は言います。
「起こり」を感覚的に捉え、戦うのが
「本能型」の武将だと。
しかし李牧はもともと「知略型」の武将。
どうやって「本能型」の戦いを……?
合従軍。
秦国滅亡の危機。
その合従軍の際、「本能型の極み」とされる、
「麃公将軍」と戦った李牧。
その一戦から、本能型の戦い方を研究、読み解き
自身の軍に叩き込み「知略」「本能」を兼ね備えた
「ハイブリッド」軍(王翦はもちろんそう言ってません、
私が勝手に名付けました)を作り上げたんだと。
そして、王翦も相手の動きを読んで、
合わせに行き、攻勢に出ます。
かなりのハイレベルで戦う2人。
李牧優勢かと思われましたが、どっこい
王翦が逆転の気配ですね。
しかし、ハイレベルな頭脳戦で、読んでて
頭痛くなってくるのはわたしだけ?(笑)
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