11巻の表紙は羌瘣です。可愛いですね…(*´∀`*)
信が王騎から命ぜられた、「修行」(無国籍地帯の平定)を行っている頃、秦国は20万人の兵を興し、隣国「韓(かん)」に攻め入ります。
軍を率いるのは秦国将軍・「蒙驁(もうごう)」。
昌文君曰く、「極めて凡庸な将軍」で、定石通りの堅実な攻め、守りを行う。強い相手には勝てないが、弱い相手に負けることは決してない、とのこと。
つまりは、セオリー通りに戦い、良い意味でも悪い意味でも番狂わせは起こさない、という感じなんでしょうね。
凡庸(ぼんよう)
平凡でとりえのないこと。また、その人や、そのさま。
~「goo国語辞書」より~
ちなみにこの蒙驁将軍、貂が入門した昌平君の軍師養成機関の先輩弟子・蒙毅(もうき)の祖父であり、呂氏四柱の武官・蒙武(もうぶ)の父親でもあります。
韓の国境付近での城攻めが続く秦軍。
「セオリー通り」順調に城を攻め落とし、韓国内に深く進軍していく蒙驁率いる秦軍。
この情報はもちろん、軍師養成機関にも入ってきます。
地図を見ながら秦軍の現在地を見た貂は、深入りしすぎじゃないか、他の隣国が攻め入って来たらどうするんだ、という不安を先輩弟子・蒙毅にぶつけます。
隣国、魏と楚には、それぞれ別の将軍が率いる軍が対峙しているので、簡単に攻め入れられることはない。
もう一つの隣国、趙にももちろん軍はあるが、それを率いる将軍がいない。
それが蒙毅の見立てでした。
かつて、趙には「三大天」と呼ばれる、3人の大将軍がいました。「廉頗(れんぱ)」「藺相如(りんそうじょ)」「趙奢(ちょうしゃ)」。秦で言うところの「六将」のようなものですね。
今は三大天も亡く、大軍を率いる器量を持った将軍はおらず、趙は動けない。
秦の中枢の考えも同様。
「趙は今は動けない」
「虚を衝く」とはまさにこのことでしょうか。
「動けないはず」の趙が、12万の大軍で秦に攻め入ります。
国境の「馬央」という城を落とし、進軍を続けていると。
更に、馬央の秦国人、周辺の集落の秦国人が蹂躙されており、乳飲子まで殺され、血の川が流れた、と。
以前少し出てきた「長平の戦い」。
趙との戦いで、投降した趙兵40万人に対し、秦の六将の一人、「白起(はくき)」が下した決断は40万人の投降兵全員を「生き埋め」にするというもの。
以来、趙は秦を恨み続けている…。
今回の進軍で、馬央や周辺の住民を皆殺しにしているのは、「長平の戦い」の恨みからくるものでした。
蹂躙部隊を買って出たのは、「長平の戦い」の生き残りである「万極(まんごく)」将軍。
「秦への恨み」がすべての原動力、という感じで、裸体の女性遺体を積み上げ、その上に裸で座る、というちょっとイっちゃっている感じの将軍です。
イっちゃっているという意味では、私の中では「哲也-雀聖と呼ばれた男-」に出てきた「印南(いんなみ)」と被るところがあります。
「狂気」とか「執着」とか、そういうイメージが。何となくですが。
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