一頻(ひとしき)り話し終わり、貂の前から去ろうとする羌瘣。
貂は、羌瘣に何が悔しいのか問います。
不確かな掟に翻弄されたこと、象姉が卑劣な手で殺されたこと、或いは…。
「象姉が殺されたとき、自分がその場にいられなかったこと?」
羌瘣の図星をついていました。
自分がいれば象姉を殺させなかった、なのに寝ていた、香ごときで、自分がいればっ…。
祭に自分がいなかったこと、そのことを後悔していたのでした。
何故そう思うか、羌瘣に問われると、貂は「自分がそうだから」と。
自分が知らない場所で、自分がそこにいなくて、大事な人がいなくなる、それが一番怖い…。
貂は信が好きなのです。
明言してませんが、そういう描写は所々にありました。
王弟反乱鎮圧後、しばらく2人で穏やかな生活を送っている最中、ふと「2人でこうしてやっていけるし、いいよな~、こういうの」と呟いてみたり、信の初陣では、信と同じ歩兵軍がほぼ全滅であることを知らされ、泣きそうになったり、と。
貂は、「信と一緒に戦場に行きたい、戦いたい」と思っていたのです。
やばいですね、健気すぎます。
一人称「オレ」だし、ミノムシだし、ちんちくりんだし、なのにすっごい健気!可愛い!!
翌日、王宮の本殿。
集結するのは政をはじめ、昌文君や壁などの国王勢力。
前夜の刺客を尋問し、黒幕が「呂不韋」丞相であることを吐かせました。
「じゃあ、あとは呂不韋を裁いて終わりじゃねぇか!」
と楽観的に語る信ですが、事態はそんなに簡単ではありません。
力関係が圧倒的に違うのです。
「万の軍勢に10で立ち向かうようなものだ」と壁が言うと、「戦は数じゃねェ、”人”だ」と信が返します。
昌文君は、信の勘所は悪くないものの、その「”人材”」においても、向こうがはるかに上だと言い切ります。
疑惑の、というか完全に黒なのですが、自ら王宮を訪れる呂氏とその臣下達。
呂氏四柱と呼ばれる、
「法の番人・李斯」
「天才軍師・昌平君」
「武の達人・蒙武」
「外交の達人・蔡沢」
も引き連れ、現れます。
呂氏は政に対し、「ご無事で何より」と言った後、その黒幕は「この呂不韋めにございます」と自分で切り出します。
自分の命を狙われ、捕らえた刺客からの自白も取り、目の前で自分が黒幕だ、と言い放つ呂氏に対し、「そんなはずはなかろう」と言わなければならない政。
堂々と、正面切って自分の悪事を闇に葬ることができる。
それだけ、政と呂氏には力の差があるのです。
呂氏陣営が去った後、一様に悔しがる国王陣営。
その中でも一番悔しいのは政で、玉座を何度も蹴る始末。
信に「外の空気でも吸いに行こうぜ」と誘われ、少し気の晴れた政。
自身の陣営に、元々は敵であった竭氏の参謀、肆氏を加え、打倒呂氏のため立て直しを図ります。
肆氏は暗殺計画時、自分や自分の臣下では王宮に入れないため、信にその警護を依頼したところから、国王派に移っていたんでしょうね。
竭氏の下に付いていた時に、竭氏からの無茶ぶりや自身の扱いに不満を抱いていた描写はありましたからね。
竭氏の参謀として呂氏陣営と対抗していた肆氏を加え、陣営強化なるか、というところですね。
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