「蚩尤(しゆう)」は蚩尤族の中から一人だけが継承するもの。
蚩尤族の中には氏族が19あり、各氏族は「蚩尤」を継承するものを育てる、それだけのために生きます。
羌瘣(きょうかい)は「羌(きょう)」族の「象(しょう)」と共に、姉妹のように育てられました。
蚩尤になるため、幼いころから戦いの場に身を置いて…。
蚩尤族では、現蚩尤と連絡が取れなくなると、新しい「蚩尤」を決めるための「祭(さい)」と言う儀式が行われます。
19の氏族がそれぞれ2名ずつ代表を選び、合計38人が最後の一人になるまで戦い続けます。
どこぞの「バトル○ワイヤル」みたいですが…。
羌瘣13歳、羌象15歳の時に、「祭」が行われることが決まります。
「最後の一人」を決める、つまりは姉妹のように育った二人でも、殺し合わなければならないのです。
祭の前日、瘣と象は話をします。
瘣は、昔から「祭までの命だ」と言われ育ってきたので、死ぬのは怖くない。でも、象姉には絶対に生き残ってほしいと話します。
象は、「祭なんて馬鹿げている。わたしはもっと生きて、広い世界を見たい。そして男のぬくもりも知ってみたい。」と。
ちょっとませたお姉ちゃんですね、象。
ただ、そう考えるが故に、瘣には生き残ってほしいと考えていました。妹のように可愛がっていた瘣を死なせたくない、と。
翌日、「祭」当日。目覚めた羌瘣の目に映ったのは…夕日!?
字のごとく「飛び起き」て、走り出す羌瘣。
ありえない!!!!寝過ごすなんて!!!!
朝から始められるはずの祭!
なぜ自分は夕方まで寝ていたのか!?
窓に何か置いてあった…あれは……香?眠らされた??
誰に?……象姉??
「象姉ぇ~~~!!!!」
祭の行われる場所に急ぐ羌瘣。
到着すると、38人…羌瘣を除いて37人が殺し合った場所は、死屍累々。
象姉を探す羌瘣。
違う、違う、これも違う、これも。
一体一体、象姉でないことを確認し、象姉!象姉が…勝った!
そう思ったとき、羌瘣の視界に入ったのは、羌象の首でした。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~!!!!」
羌象の首を抱き、慟哭する羌瘣。
前日、集まった各氏族の中には、羌象にも羌瘣にも敵いそうな相手はいなかった。
なのに何故!?
羌族の長が現れ、事のあらましを説明します。
羌族の象と瘣は、他の氏族の者に比べ、抜きん出て強かった。
だから、各氏族の長たちは、2つのことを黙認した。
一つ目は、羌瘣が参加しなかったこと。
二つ目は、全員で羌象を攻撃すること。
本来、「祭」では協力することが許されない、そういう「掟」のはずなのに…黙認??
他の氏族の長たちが集まり、「祭」に参加しなかった羌瘣はすでに死人。
一人残った「蚩尤」以外は、全て骸になるのが掟。
掟に従い自害せよ、と羌瘣に迫ります。
短剣を差し出す長の一人の腕を切り落とし、
「バカにしてるのか?貴様ら」
掟を破り、協力して象姉を殺した。
掟によって、自分に自害を迫る。
「千年の掟」が聞いて呆れる。
その場にいた年寄りを皆殺しにして、自分も死のうかと考えた羌瘣でしたが、その前にやらなければならないことに気付きました。
裏で手を組み、象姉を殺し、蚩尤になった現蚩尤の幽族の「連(れん)」。
幽連を殺し、象姉の仇討ちをする。
羌瘣が魏との戦争に参加したのは、現蚩尤・幽連が魏にいると聞きつけたため。
秦国王・政の暗殺に参加したのは、復讐に協力する約束を取り付けたから。
羌瘣の行動は、全て象姉の仇討ちのため、なのでした…。
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